【中国】外資企業の増資・減資について

外資企業が登録資本金を増加、減少させるためには、商務主管部門の許可が必要となります。

今回はこの許可の取得にあたっての注意点を解説します。

 

・ 増資

 

1.増資手続きと投注差の関係

1)増資許可取得

 外資企業が増資を行う場合、商務主管部門の許可が必要となります。

 この増資についての許認可取得は難易度が高いものではありませんので、通常1ヶ月以内に取得でき、その後、資本金口座の開設、資金の払い込み、定款・営業許可証・関連登記の変更、というステップを踏む事となります。

 

 尚、増資とその他の許認可を同時に必要とする場合は、手続的な注意点があります。

 例えば、会社清算に際して債務弁済資金が不足する事により増資が必要な場合、実質的な意義としては、増資も清算作業の一環となりますが、認可機関は増資と清算業務は別案件と認識するため(案件ごとに申請を受理し、審査するという立場が原則であるため)、個別に申請を提出する事が求められます。

 つまり、増資と期前解散の許可申請を同時に提出する事はできず、まず増資申請を行い、この許可を取得した上で期前解散許可申請を行う事が要請されますので、時間的なロスが生じます(同時進行できない事によるもの)。

 この点を作業スケジュールに織り込んでいく必要があります。

 

2)総投資と資本金の比率

 外資企業に対しては、総投資と資本金の比率(工商企字[1987]38号)が定められていますので、増資に際しても、この比率を守る必要があります。

 例えば会社の設立時に、この比率以上の資本金設定にした場合(総投資額と資本金額を同額にした場合など)でも、増資後の資本金額に基づいて比率調整する事は原則としてできません。これは、工商企字[1987]38号・第5条に、「投資額の増加に際しては、増加する資本と増加する総投資額の関係が、当該規定の比率を満たしていなくてはならない」と規定されているためです。

 勿論、当社が取り扱った事例には、増資後の資本金に基づく総投資額の調整が認められた事例がありますので、認可機関に打診する意義はある事は確かですが、原則論としては上記の通りとなります。

 

2.各種現物出資・デットエクイティスワップの可否

 外資企業の資本金の払い込みは、現金だけでなく、有形資産(設備機械など)、無形資産での払い込みも可能であり、増資についても同様です。

 従前は会社法にて、資本金の払い込みは、現金出資を30%以上(現物出資比率は70%以下)とする事が求められていましたし、独資企業の場合は、無形資産での現物出資は資本金の20%以下に制限されていました(独資企業法実施細則)。

 但し、2014年3月1日に会社法・三資企業法が改定され、これらの制限は撤廃されました。同時に、資本金払込期限の制限も撤廃されています。

 

 債権・債務の資本転換による外資企業の増資方法としては、外債登記された国外借入金のみが資本金への組み入れ(デッドエクイティスワップ)が認められています。

 「外商直接投資の外貨管理業務を完全なものにする事に関する通知(匯発[2003]30号)」には、デッドエクイティスワップを実施する際には、商務主管部門で外貨債務の資本金転換許可(増資認可)を取得し、その後、増資認可と債権者(親会社)が発行した外貨債務の資本金転換確認書を外貨管理局に提示し、外貨債務の解除申請を行う事が定められています。

 

 因みに、既に失効とはなっていますが、「会社債権の持分転換に関する登記管理弁法(国家工商行政管理総局令[2011]57号)」に、債権者と債務会社間の合意があれば、転換に関する誓約書を以て債権の持分転換が可能である事が規定されているため、外資企業に関しても、この様な手続で親子間の債権・債務の持分転換ができるのではないか、というご質問を受ける事があります。

 確かに、これが可能であれば、日本の親会社からの買掛金、若しくは、諸預り金等を資本金として処理する事が可能となるため便利ですが、残念ながらこれは認められません。

 上海・広州の商務主管部門・工商行政管理局にヒアリングしましたが、当該法規は内資企業を想定したものであり、外資企業の出資として認められるのは、現金、設備機械、権利が明確となっている無形資産等に限定されるとの回答でした。

 

・ 減資

 

1.減資が認められる実務面での条件

 外資企業の減資(経営期限内の登録資本金の減少)は原則として禁止されています。

 従前は完全に禁止されていましたが、2000年の三資企業法(独資企業法・合資企業法・合作企業法)改定に際して、「外資企業は経営期間内に登録資本金を減少させてはならない。但し、投資総額規模や生産経営規模に変化が生じ、減資が確実に必要な場合は、認可機関の許可を受けなければならない」と条項が改定されたため、(減資許可の取得については、難易度が高いのは確かですが)状況によっては減資が認められる事があります。

 

 では、どの様な条件が整えば減資が認められるか、という点ですが、認可機関(商務主管部門)が最も注意する審査ポイントは、「減資による資金減少が、債務の不払いや従業員の大量解雇に繋がらないか」という点です。

 そのため、十分な利益と現預金残を有している事が、減資許可取得の最低条件となります。

 また、総投資と資本金には一定の比率が規定されているため、減資は必然的に総投資金額の減少につながります。奨励分類外資企業は、総投資の枠内で自己使用設備の免税輸入を行う事ができますが、枠いっぱいの免税輸入を行っている場合、減資をすれば、理論的には過剰免税輸入となるため、審査に際して問題となる可能性があり得ます。

 この様な点を事前判定した上で、申請する必要があります。

 

2.有償減資と無償減資の対応可否

 減資は、出資資金の払い戻しを伴う有償減資と、払い戻しを行わない無償減資に分けられます。

 有償減資とは出資者に資金を払い戻す減資であり、一方、無償減資とは、欠損会社が資本金を減少させ、減資差益で欠損金を減少させる減資形態を指します。

 

 中国に無償減資の制度はあるか(外資企業として対応できるか)、というご質問を受ける事がありますが、持効性の問題はさておいて、概念的にはあります。

 これは、外貨管理通達ではありますが、「外商直接投資の外貨管理業務を完全なものにする事に関する通知(匯発[2003]30号)」に、外国投資企業が帳簿上の欠損を減らすために減資を行なう場合、外国投資企業は減資部分の全部の対外送金を行なってはならない、という条文がある事からも伺えます。

 但し、実行面から言うと、認可機関(商務主管部門)は登録資本金の減少という点のみに着目して審査を行う傾向があるため、投資資金の払い戻しを伴わない無償減資であるから認可が下りやすい、という事はない様に思われます。

 却って、無償減資を行う会社は欠損金がある事が前提となるため、認可取得が困難であるとも想定されます。

 この点は、認可機関・担当者の判断による部分もあると思われるため、意思決定に際しては、認可機関での事前確認が必要となります。

 

3.合作企業の投資先行回収

 減資とは異なりますが、一定の条件の下、中外合作企業では外国出資者が投資資金を先行回収する事が認められます。

 これは、プロジェクト関連(ホテル、発電、プラント事業など)の様に、高額の資金投下を行い、経営期限内に当該資産を利用した事業運営により利益を確保した上で、最終的に中国パートナーに資産を無償譲渡する形式を想定した規定です。

 

 投資の先行回収は本格的な減資ではないため、登録資本金を減少させず、資本の部のマイナス項目として記帳します。また、合作企業に債務がある場合は、外国出資者は先行回収に際して、それらの債務に対して責任を負う事が要請されています(匯発[2003]30号)。

 中外合作企業の投資先行回収は、合作企業法実施細則、「合作企業の外国合作者の投資を先行回収に関する審査・許可弁法(財政部令[2005]第28号)」に以下の通り条件が規定されています。

 

● 合作期間満了時に、企業の固定資産の全てを中国側合作者に無償譲渡することを、合作契約において定めている事

● 合作企業が債務の償還を投資の先行回収に優先させる事を確認する事

● 投資の先行回収を行う外国側合作者は、投資の先行回収の範囲内で、合作企業の債務に対して保証を行う旨の保証書を提出する事

● 合作企業の出資金が適切に払い込み済である事

● 合作企業の経営状況が良好で、欠損金が無い事(赤字の状態での投資先行回収は認められない)

 

以上

 

【お問い合わせ】

株式会社チェイス・チャイナ

横浜市西区みなとみらい2-2-1横浜ランドマークタワー20階

Tel:045-277-3777  Fax:045-277-3801 

E-mail:info@chasechina.jp(担当:横幕、杉山)

 

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