最近の中国外貨管理動向(取引に影響を与える制度変更)

 

昨年より、中国の外貨管理は規制強化のトレンドに入っていると言えます。

但し、制度変更の内容を見ると、資本項目調達資金の外貨から人民元への換金、及び、外国から中国への資本晴の資金流入に付いては規制緩和(経常項目は元より原則自由)、一方、中国から国外に関する資本項目資金の移動に付いては、規制強化が行われています。

また、原則自由と位置付けられている経常項目決済に付いても、オフショア取引の様に、実取引の検証が難しいものに付いては、証憑書類の確認義務が厳格化され、取引に支障が出る事例も少なからず見受けられます。

更に、銀行口座管理も厳格化されるなど、規制傾向の強い状況となっています。

最近の外貨管理のトレンドに付いて、影響の大きな内容を、以下、解説します。

 

1.オフショア取引規制強化

オフショア取引に対する規制は、2015年の年末から局地的に開始されましたが、それが、2016年4月に全国に拡大し(匯発[2016]7号)、最近、更に厳しくなっています。

現在の貨物代金決済の原則(輸出入取引決済)は、輸出貨物代金の入金は証憑不要で銀行に入金申請を提出するだけ、輸入貨物代金の対外支払いは、輸入通関単・契約書・インボイスの何れか一つの原本を提示するだけです。

但し、オフショア取引は、中国内に貨物が搬入されない取引である事から、虚偽取引を懸念し、匯発[2016]7号により、船積書類・船荷証券・倉荷証券などの権利証書の提示が義務付けられました。

具体的な証憑提示内容は銀行の判断にゆだねられていますが、2016年9月の「銀行外為業務違反事例の通報(匯綜発[2016]103号)」により、外貨管理局が銀行に対して、管理の一層の厳格化を指示した事により、証憑提示要件が一層強化されています。

依然として提示が求められる証憑の詳細は銀行に委ねられていますが、船荷証券原本の提示が要求されるのが通常であり、これが無い場合は、Air Way Billや倉荷証券が有っても決済が認められない等の影響が出てきています。

 

2.換金・利益送金

(1) 資本金口座・外債口座内外貨の人民元換金と使用

2016年6月に、「資本項目人民元転管理政策の改革及び規範化に関する通知(匯発[2016]16号)」が施行され、資本金口座・外債口座内の外貨は、企業の任意で随時、人民元に換金できるようになりました。但し、資本項目で調達した資金は、経営範囲に合致した使用が義務付けられますので、待機口座に保管され、使用時の証憑検査が実施されます。

但し、証憑不要の、手元準備金の引き出し(証憑不要の換金)は月間累計US$20万以内と、それまでのUS$10万より規制緩和されています。

 

(2) 匯発[2017]3号による制度変更

「真実合法性審査の一層の改善を推進する事に関する通知(匯発[2017]3号)」により、以下の様な規制変更が実施されています。

1)国内外貨借入の人民元転換

3号通知施行以前は、中国内の銀行からの外貨借入は、原則として人民元換金が認められませんでしたが、貨物輸出を前提とする国内外貨借入に付いては、人民元換金が認められるようになりました。但し、当該借入は、輸出により受領した外貨により返済が必要であり、外貨の購入による返済は認められません。

 

2)国内保証・国外借入に関する資金の国内還流

国内保証・国外借入資金(中国内企業が保証を差し入れ、国外の子会社等が借入を行う様な取引)の、直接的・間接的な中国への戻し入れが認められました。

 

3)自由貿易試験区内の外国企業口座

中国内の非居住者口座(Non Resident A/C)内の資金に付いては、原則として換金行為が禁止されていますが、自由貿易試験区内の外貨口座については、人民元への換金が認められました。

 

4)配当送金の規制強化

中国内の企業がUS$5万超の配当を国外に対して行う場合、董事会利益処分決議・税務備案表原本・会計監査報告書の提示が求められると共に、「利益送金前に過年度の損失を補填する」との内容が加えられました。

会計監査報告書に付いては、「資本項目外貨管理政策を一層改善・調整することに関する通知(匯発[2014]2号)」により、一旦、配当送金に際しての会計監査報告書、検資報告書の提示が免除されましたが、その後、「貿易投資便利化の真実性審査の改善を一層促進する事に関する通知(匯発[2016]7号)」により、US$5万を超過する配当に付いては会計監査報告書などの財務状況を示す証憑の提示が改めて要求されるようになり、その管理を維持するものです。

その上で、配当前の過年度損失の補てんというのは、原理原則通りですが、運用上、どの様な影響が有るかは現時点では不透明です。例えば、配当送金を行う当期が赤字の場合、過年度の利益全額の配当が認められない(当期の赤字分を差し引いた金額の送金しか認められない)などの影響が生じる可能性も想定され、今後の運用に付き注意が必要です。

 

5)対外貸付の規制強化

中国からの国外貸付に付いては、人民元国外貸付残高と外貨国外貸付残高合計額が、前年度の監査済み財務報告の純資産の30%以内とする事が義務付けられました。

また、本件に関しては、人民銀行からも、「国内企業の人民元対外貸付業務に関する事項の一層の明確化に関する通知(銀発[2016]306号)」が公布されています。

 

3.外債(対外借入)規制の緩和

2016年5月に、「国範囲で全範囲クロスボーダー融資のマクロプルーデンス管理を実施する事に関する通知(銀発[2016]132号)」が施行され、外債(対外借入)に関して、従来の投注差管理に加えて、前年度の純資産を基準とした方法が認められました。これにより、外資企業は、2種類方法から一つを選択する事ができるようになり、更に、投注差管理を選択した場合でも、借入通貨・期間を問わず、残高管理が適用(返済すれば借入枠が復活)されるようになりました(注)。

注:

純資産方式も残高管理。

尚、投注差管理が残高制に移行した事に付いては、明文規定が公布されておらず、運用面での変更。

 

それが、2017年1月に、「全範囲クロスボーダー融資のマクロプルーデンス管理実施に関する通知(銀発[2017]9号)」」が施行され、新方式(純資産管理方式)による外債枠が、純資産の2倍に拡大されました。但し、対外借入額をそのまま使用するのではなく、一定の調整を加えた金額が使用されます。

 

4.銀行口座管理

2016年9月に「電信ネットワークの支払決済管理強化による新しい犯罪防止に関する事項に関する通知(銀発[2016]261号)」が施行され、個人の場合、1(ローマ数字1)類口座(使用制限なく、現金の引き出しができる口座)は、同一銀行(法人単位)当たり1口座のみ開設が認められる事が規定されました。

また、法人の場合1日累計額100万元超、個人の場合1日累計30万元超の振込は、高額取引として個別審査の対象となる事が規定されました。

更に、個人の非窓口振り込みの1日累計額が5万元を超過する場合は、個別審査が必要とされました。

また、2016年12月に「金融機構高額取引・不審取引報告管理弁法」が改定され(中国人民銀行令2016年第3号、2017年7月1日より施行)、金融機関から政府機関に報告が必要となる大口取引の基準が、以下の通り規制強化されます(以下、全て1日累計金額)。

 

1)現金預入・現金引き出し・現金両替・その他の現金取引

法人・個人共に、人民元は5万元以上(従前は20万元)・外貨はUS$1万以上(変更なし)

 

2)銀行振り替え

法人の場合、人民元は200万元以上・外貨はUS$20万以上(変更なし)

個人の場合、国内振り替は人民元50万元以上・外貨US$10万以上(変更なし)、国際振り替えは人民元20万元以上(追加)・外貨US$1万以上(変更なし)。

 

以上

 

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