新就業許可制度正式開始~試行措置との比較と実務のポイント

 

2016年10月~2017年3月の、一部地域での試行措置を踏まえて、2017年4月1日より、新しい外国人に対する就業許可管理制度が開始されています。

それに際して、「外国人中国就労許可制度の全面的実施に関する通知(外専発[2017]40号)、以下、40号通知」が公布されていますが、その内容は、先行して公布された「外国人来華就業許可制度試行実施方案(外専発[2016]151号)、以下、151号方案」よりも明確であり、また、規制緩和につながる内容も織り込まれています。

正式スタートした新しい就業許可管理制度に基づく、分類判定の主要ポイントと、実務上の注意点を、ビジネスマンに関するポイントを中心に解説します。

 

1.根拠法規の主要変更点

新就業許可管理制度の根拠法規である40号通知の、先行して公布された151号方案からの主要変更点は、以下の通りです。

 

(1) 年収基準

制度の正式開始に際して実施された、最も重要な変更点は、各分類の年収基準が明確になった事です。

40号通知では、「平均給与収入が当該地区の前年度の社会平均給与収入の6 倍以上の外国籍人材」はA類、「4倍以上の外国籍人材」はB類と規定しています。

当該地域とは市レベルを指しますので、具体的な水準は、就労をする市で確認する必要が有りますが、たとえば上海市の2016年の平均給与は6,504元ですので、3.9万元以上の給与の場合はA類、約2.6万元以上の給与の場合はB類となります。

広州市は、現時点で未発表ですし、同様に平均給与の発表が遅れる地域も有るかと思いますが、151号方案で明確化されていなかったA類・B類の年収基準が明記された事は、実務上極めて重要です。

尚、この条件は絶対条件ですので、この条件を満たす場合は、A類・B類共に、ポイント計算は不要です。

当該給与水準は、40号通知では依然として中国内の組織が負担する給与と規定されていますが、上海市でのヒアリングでは、国外で負担された給与も合算可能(但し、中国で個人所得税の納税が行われている事が条件)との事ですので、この点は、各地の運用を具体的に確認する必要があるでしょう。

また、151号方案では、B類全体に対して、「60才以下、大卒以上、就業2年以上」という制限が掛かっていましたが、40号通知では、給与水準基準に関しては、この制限は(法律上は)除外されています。

よって、この3条件の何れかに合致しない外国人材でも、例えば、上海市であれば、2.6万元以上の給与水準であれば、理論上はB類に選別可能となります。この点、法律と実務運用状況に相違が生じないか、今後、確認する必要があるポイントです。

 

(2) ポイント計算

A類・B類の絶対要件を満たさない場合、ポイント制が採用されます。このA類85点以上、B類60点という基準に変更はありませんが、ポイントの内容が若干変更されています。

変更点は、就業歴の最高ポイントが15点から20点に引き上げられた事。そして、中国就業5年以上の経験で5点の加算の可能性が加わる事です(大手企業・優良大学卒業の場合、5点加算が認められていましたが、それと同格の条件として、中国就業5年以上という内容が加わりました)。

その一方で、語学ポイントが下げられているのは、試行措置に比べて、一定年数の就業経験者(高年齢者)に対する配慮が行われたと考えてよいと思います。

 

<新しいポイント>

● 中国内組織が負担する年収(変更なし)

45万元以上(20点)、35~45万元未満(17点)、25~35万元未満(14点)、15~25万元未満(11点)、7~15万元未満(8点)、5~7万元未満(5点)、5万元未満(0点)

● 学歴・国際職業資質認定(変更なし)

博士・博士相当(20点)、修士・修士相当(15点)、学士・学士相当(10点)

● 業務経験(最高点が15点から20点に)

2年超の場合は1年超過ごとに1点加算(最高20点)、2年(5点)、2年未満(0点)

● 年間就業時間(変更なし)

9か月以上(15点)、6~9か月未満(10点)、3~6か月未満(5点)、3か月未満(0点)

● 中国語HSKレベル(ポイントが引下げに)

5級以上(5点)、4級(4点)、3級(3点)、2級(2点)、1級(1点)

● 就業地域(変更なし)

西部地区、東北地区など旧工業地域、中部地区の国家級貧困県等の特別区(10点)

● 年齢(変更なし)

18~25歳(10点)、26~45歳(15点)、46~55歳(10点)、56~60歳(5点)、60歳超(0点)

● 卒業大学、若しくは、勤務歴(中国内就業5年以上がポイントとして加わる)

国外ハイレベル大学卒業、若しくは、世界500強企業での就業経験者、中国就労年数5年以上、特許権等所有(何れかに該当すれば5点)

● 省級外国人就業管理による奨励点(変更なし)

地方経済と社会の発展に必要な人材(0~10点)

 

2.A~C類判定の条件

40号通知に基づく、通常のビジネスマン(外国企業が派遣する駐在員、若しくは、中国内の外資企業で雇用される外国人)のA・B類判定条件をまとめると以下の通りです。

 

(1) A類

A類は、以下の条件の何れかに該当する場合となります。

1)世界500強企業の本社高級管理職・技術研究開発の主要メンバー経験者、若しくは、子  

  会社・地域本部の副総経理以上、若しくは、技術研究開発責任者を経験した人材。

2)世界500強企業の地域本部、国家ハイテク企業(省級以上の科学技術部門認定)、大

  型企業(注1)が雇用する高級管理と技術職に就任する人員。

3)国内外の中型企業(注2)が雇用する高級管理人員、或いは技術職人員、及び、「外商

  投資産業指導目録」の奨励類、及び「中西部地区外商投資優勢産業目録」の小型外商  

  投資企業が招聘する董事長・法定代表人・総経理・主席技術専門家。

4)平均給与収入が当該地区の前年度の平均給与の6 倍以上の人材。

5)ポイント制で85点以上の人材

 

(注1)大型企業の定義は、以下の通り。

    工業:従業員1,000人以上、営業収入4億元以上

    卸売:従業員 200人以上、営業収入4億元以上

    小売:従業員 300人以上、営業収入2億元以上

    物流:従業員1,000人以上、営業収入3億元以上

    倉庫;従業員 200人以上、営業収入3億元以上

 

(注2)中型企業の定義は以下の通り。

    工業:従業員  300人以上、営業収入2千万元以上

    卸売:従業員  20人以上、営業収入5千万元以上

    小売:従業員  50人以上、営業収入500万元以上

    物流:従業員  300人以上、営業収入3千万元以上

    倉庫;従業員 100人以上、営業収入1千万元以上

 

(2) B類

B類は、以下の条件の何れかに該当する場合となります。

1)学士以上の学位、及び、2年以上の職務経験を有する、多国籍企業が派遣する中堅以

  上の社員、及び、常駐代表機構の代表。

2)当該地区の前年度平均給与の4 倍以上となる人材。

3)ポイント制で60点以上の人材。

 

3.就業許可申請の実務状況

新システムに基づく就業許可証申請に関する手続と注意点の代表的な内容を下記します。

以下は、上海市の例ですので、その他の地域に付いては、各地の状況を踏まえて対応下さい。

 

(1) 就業許可管理制度による登録システム

就業許可の申請にあたり、企業は事前に指定されたシステムで登録(関連データの入力と証明書類のスキャンデータの添付)を行い、外国専門家局の担当者は、このデータに基づき初回審査を行います。これが受理された後、窓口に書類を提出する事になります。

 

尚、日本で準備する書類は以下の通りです。

● 健康診断書

● 卒業証明書(在日中国大使館・領事館の認証が必要)

● 無犯罪証明(在日中国領事館の認証が必要)

● 職務証明(日本本社の社印、及び、本社代表取締役社長・人事部長署名、電話番号

     の記載が必要。また、2年以上の勤務期間の記載が必要)

     尚、現地法人より給与を受け取らない場合(派遣元の日本企業が給与を一括支給する

     場合)、日本本社の代表取締役社長署名・社印、派遣先の現地法人社印を捺印した派

     遣証明を提示。

 

(2) 就業許可の新規申請のフローは、以下の通りです。

・上記(1)の企業のユーザー情報登録(5営業日)

  ↓

・必要書類(健康診断書・卒業証明書・無犯罪証明書・職務証明書等)を中国に郵送

  ↓

・工作許可通知の申請(ネット審査:5営業日、窓口審査:10営業日)

  ↓

・取得した工作許可通知を日本に郵送し、Zビザの申請

  ↓

・Zビザで入国

  ↓

・工作許可証の申請(ネット審査:5営業日、窓口審査:10営業日)

  ↓

・居留許可の申請(8営業日)

 

尚、上海では、Mビザで入国した上で、以下の様な流れで工作許可証を取得する方法も認められていますが、この可否は地域により異なります。

・上記(1)の企業のユーザー情報登録(5営業日)

・工作許可通知の申請(ネット審査:5営業日、窓口審査:10営業日)

・居留許可の申請(8営業日)

・工作許可証の申請(ネット審査:5営業日、窓口審査:10営業日)

 

(3) 実務作業上の注意点

1)システム登録時にアップロードするデータは、全て1MB以内、且つ、カラーデータ 

  (jpeg/jpg)とする必要が有ります。

2)労働契約書、若しくは、派遣証明に記載する契約(派遣)開始日は、外国人工作許可通

  知のネット申請日以降の日付とする必要が有ります。

3)会社名を中国語訳するにあたり、以前の制度では日本名をそのまま記載しても受理さ

  れましたが、現在は会社名のカタカナ部分は漢字に、株式会社の部分を「有限責任公

  司」、若しくは、「股份有限公司」と翻訳する必要が有ります。

4)卒業証明書には、学位(学士・修士等)を明記する必要が有ります。

  卒表証明書に学位が記載されていない場合、正規の卒業証明でも、受理されません。

 

(4) 分類判定

就業許可申請時は、A類・B類・C類の別に申請を行うのではなく、選択無しで行います。

外国専家局の担当者は、データを確認した上で、分類を判定し、ネット審査が受理された時点で、分類欄にA・B類等の分類が記載されます。

却下された場合には、理由も記載されていますので、内容によっては、初回申請を訂正し、再提出することが認められます。

 

(5) 緩和条件

151号方案では、B類は原則として60才以下・学士以上の学位・2年以上の就業経験を備える必要が有る事が規定されていましたので、「確かに必要性があると認められる場合、年齢、学位または職歴などの制限を適切に緩和することが可能」という内容が織り込まれていました。

一方、40号通知では、B類に関して、この様な年齢・学位・職歴条件が適用されるのは「多国籍企業が派遣する中堅以上の社員、及び、常駐代表機構の代表」に関してだけであり(更に、学位・職歴は条件設定されているが、60才以下という年齢は削除)、結果として、緩和条件も明記されていません。

上海市外国専家局で確認した結果、学士未満・60才超等の条件が有る場合でも、他の条件(年収、派遣・雇用する企業の内容等)を踏まえて考慮するので、まず申請する事、という回答でした。

 

 

以上

 

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