銀行口座管理・国外カード使用・資金移動の規制強化

 

最近、銀行口座開設、資金振替、カード使用などに関する規制が強化される傾向にあります。昨年末以降実施された管理強化に付いて、代表的な内容を紹介します。

 

1.銀行口座開設時の居住声明提出

「非居住者金融口座の税務状況調査管理弁法(国家税務総局・財政部・人民銀行・銀行業監督管理委員会・証券監督管理委員会・保険監督管理委員会公告2017年第14号)」により、2017年7月1日より、銀行口座開設時に、居住声明書を提示する事が義務付けられています。

これは、非居住者口座を使用した租税回避等の規制のために、口座保有者の情報(居住地や居住地での納税番号など)の開示を求めるものです。

これにより、非居住者口座に付いては、関連国(口座保有者の居住地等)の税務機関と情報交換が行われます。

尚、2017年7月1日以前に開設された口座に付いては、銀行が既存データに基づき判定を行いますので、原則として、特段の手続は不要です。

 

2.中国外での国内カード使用

「金融機関による銀行カード海外取引情報提出に関する国家外貨管理局の通知(匯発[2017]15号)、以下、15号通知」により、2017年9月1日より、中国内で発行されたカードの国外使用に関する管理監督が強化されます。

 

(1)対象となるカード

15号通知の対象となるのは、国内金融機関が、中国内で発行したカードであり、クレジットカード・デビットカードの双方が対象となります。

 

(2)報告対象

国家外貨管理局に対する報告の対象となる取引は、以下の通りです。

● 海外金融機関のカウンター、ATM等で発生した現金引出は、金額基準無く全ての取引が報告対象となる。

● 海外店舗で発生した消費は、1回当たりの金額が1,000人民元の取引。

 

(3)報告方法

カード発行金融機関は、毎日12:00迄に、前日24時間の自社発行カードの海外取引情報を、国家外貨管理局に提出する必要が有ります(祝休日も同じ)。

 

(4)その他

カード管理システムを通じて、国家外貨管理局は、海外での違法取引を管理し、この様な取引が有った場合は、その個人情報をカード発行機関にシステム上で通知する事になります。

カード発行機関は、当該情報を受領した後、モニタリングの強化を実施します。

 

(5)カード国外使用のルール

カードの使用ルールに付いては、根拠法と実務運用状況にかい離が有り、管理実態がつかみにくい状況となっていますが、根拠法となるのは、「銀行の外貨カード管理の規範化に関する通知(匯発[2010]53号)、以下、53号通知」です。

ここに定めるクレジットカード・キャッシュカードの使用制限と実務運用などの状況は、以下の通りとなっています。

 

中国内で発行されたカードを使用して外国で現金を引き出す場合、その制限金額は1日の累計がUS$ 1,000以内、1ヶ月の累計がUS$ 5,000以内、6ヶ月の累計がUS$ 10,000以内と規定されています。

但し、銀聯カードに対する規制として、1日当たり1万元、且つ、年間10万元以内に制限されています(年間10万元の上限は2015年より)。

尚、これはカードに対する制限ですので、複数枚のカードを持っている場合は引き出し額がそれだけ増える事になりますが、実務上の引き出し制限がかかる可能性は有ります。

 

53号通知には、中国公民、外国人のカード使用は、「個人外貨管理弁法(中国人民銀行令[2006]第3号)」、及び「個人外貨管理弁法実施細則(匯発[2007]1号)」を順守する事が規定されています。

これは、国際間のカード使用で人民元と外貨との換金が生じる為、この換金制限の順守が求められているものです。同弁法・実施細則では、個人の換金を以下の通り定めています。

 

<中国公民>

中国公民は、外貨から人民元の換金、人民元から外貨への換金共に、US$ 5万/年の総額制が採用されており、銀行で身分証明書を提示すれば、この金額以内であれば、無条件で換金が認められます。

 

<外国人>

外国人の場合は、外貨から人民元への換金は中国公民と同様、US$ 5万/年の総額制が採用されており、パスポートを銀行に提示する事により自由に換金する事ができます。

一方、人民元から外貨への換金は、真実性の審査を受けた上での換金が義務付けられます。

 

これらのルールは、53号通知の内容とは一致していません。

例えば、個人外貨管理弁法では、外国人の人民元から外貨への換金は総額制ではなく個別申請に基づく事になっていますが、外国人が中国で発行されたカードを外国のATMで使用する事は可能であり、結果として換金ができてしまっています。

この様な齟齬をどう解釈するかに付いては、十分明確ではありませんが、今回の規制強化が、どの様な規範強化につながるかが注目されます。

 

3.銀行口座・資金移動管理

銀行口座開設・大口取引報告に関する規制が、以下の通り厳格化されています。

 

● 銀行口座開設

「電信ネットワークの支払決済管理強化による新しい犯罪防止に関する事項に関する通知(銀発[2016]261号)」により、2016年12月1日より、個人の場合イチ(※ローマ数字の1)類口座(用途制限なく、現金の引き出しができる口座)の開設は、同一銀行(法人単位)当たり1口座のみに制限されています。

また、法人の場合1日累計額100万元超、個人の場合1日累計30万元超の振込は、高額取引として個別審査の対象となります。

更に、個人の非窓口振り込みの1日累計額が5万元を超過する場合は、個別審査が必要となっています。

 

● 大口取引の報告

「金融機構高額取引・不審取引報告管理弁法の改定(中国人民銀行令2016年第3号)により、2017年7月1日より、金融機関から政府機関に報告が必要となる大口取引の基準が、以下の通り規制強化されています(以下、全て1日累計金額)。

a) 現金取引(預入・引き出し・両替・その他)

法人・個人共に、人民元5万元以上(従前は20万元)・外貨U

S$1万以上(変更なし)

b)銀行振り替え

法人の場合、人民元200万元以上・外貨US$20万以上(変更なし)

個人の場合、国内振替人民元50万元以上・外貨US$10万以上(変更なし)、国際振替人民元20万元以上(追加)・外貨US$1万以上(変更なし)。

 

4.普通発票の発行

「増値税発票発行関連問題に関する公告(国家税務総局公告2017年第16号)」により、2017年7月1日より、増値税普通発票の起票に際しても、購入者の納税者識別番号・統一社会信用コードの提供が必要となっています。

増値税発票は、専用発票(受領者が仕入控除・輸出還付の提供が受けられる発票)と普通発票(仕入控除・輸出還付の証憑とはならない発票)に分けられます。

販売者が普通発票を発行するに際しては、顧客企業の納税者識別番号を確認する必要はありませんでしたが(専用発票に付いても、元より確認が必要)、これが求められる様になりました。

尚、顧客が個人の場合は不要です。

 

以上

 

お問合せ

MizunoConsultancyHoldingsLtd.

WEBサイト http://www.mizuno-ch.com

 

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