税関一体化の全国展開に付いて

 

「全国税関一体化改革の推進に関する公告(税関総署公告2017年第25号)、以下、25号公告」により、2017年7月1日から、全国の税関管理が実施されています。

これにより、通関手続きの合理化が実現すると同時に、全国の通関情報の共有化により、HSコード、通関価格の妥当性などに関する管理強化が図られる可能性が有り、実際に、その影響が実務上、出てきています。

税関一体化の経緯、管理体制、想定される影響について解説します。

 

1.税関一体化の経緯

税関一体化は、通関地域の選択と、通関・貨物引取手続きに関して影響を与えますが、以下のような経過措置を経てきています。

 

(1)地域統合

25公告による全国税関一体化実現前に、以下の地域で試行措置が実施されています。

 

●北京・天津・石家庄

「京津冀税関区域通関一体化改革の公告(税関総署公告2014年第45号)」に基づき、2014年7月1日より実施。

但し、石家庄は2014年10月1日より。

 

●長江デルタ

「長江経済帯税関区域通関一体化改革の公告(税関総署公告2014年第65号)」に基づき、2014年9月22日より上海・南京・杭州・寧波・合肥で実施。

その状況を確認した上で、南昌・武漢・長沙・重慶・成都・貴陽・昆明税関に拡大。

 

●珠江デルタ

「広東地区税関区域通関一体化改革の公告(税関総署公告2014年第66号)」に基づき、2014年9月22日より、広東省の空運・海運に関して実施。

その後、2014年12月1日より陸路で適用開始。

 



この経過措置により、以下の合理化が実現しています。

 

1)通関・申告納税・検査地域の選択

輸出入に際しての通関・申告・検査の場所を、適用地域内であれば、輸出入行為を行う企業の所在地税関、若しくは、実際の入出国地の何れかで任意に選択する事ができる様になりました。

 

2)税関確認事項の共有化

適用区域内の税関が実施したHSコード、通関価額、原産地等の判定は、他の税関でも有効と認められる様になりました。

 

(2)通関手続

税関総署公告2016年第62号により、2016年11月から、一部の商品に限定して、新しい通関制度の試行措置を行っていました。

これは、通関申告・貨物引取の迅速化と、事後検査の実施です。

具体的には、試行措置対象貨物に付いては、「自主申告・自主納税」の原則に基づいて、企業の税関申告・納税により貨物の引取を認め、事後で、通関価格・HSコード・原産地をはじめとする事後の抽出検査が実施されています。

これが、25号公告により、全ての商品に対して、この原則に基づく手続が実施されます。

 

2.新しい通関制度

25号公告に基づく通関手続は、原則として税関総署公告2016年第62号に準じて行われますので、税関申告・納税・貨物引取の迅速化と、段階的な抽出審査に重点が置かれます。

その目的で、以下の地域に「リスク予防管理センター」と「租税徴収管理センター」が設置され、役割分担の上で、引取貨物の安全性、納税額の妥当性に付き、抽出検査を行います。

 

(1)リスク予防管理センター

青島、上海、広州(黄埔)に設置され、通関の安全性に責任を持ちます。その内、青島は水運、上海は空運、広州は陸運を担当します。

通関の安全性とは、輸出入許可管理(許可取得状況に問題はないか。輸出入禁止貨物ではないかなど)、原産地、知的所有権侵害等が該当します。

 

(2)租税徴収管理センター

上海、広州、北京・天津(京津)に租税徴収管理センターが設置され、租税徴収の妥当性(HSコード判定、関税評価額の妥当性等)に責任を持ちます。

各センターの分担は、以下の通りです。

 

●京津

農林類、食品類、薬品類、軽工業類、玩具類、紡績類、航空機類等(税関分類1章~24章、30章、41章~67章、88章、93章~97章、3461類を含む)

 

●上海

機電設備、輸送機等(税関分類84-87章、89-92章、2286類を含む)

 

●広州

化学原料、高分子、エネルギー、鉱産物、エネルギー、金属等(税関分類25-29章、31-40章、68-83章、2800類を含む)

 

3.実務に対する影響

従来は、企業の通関申告・関税評価額等に付いて、税関が個別審査をした上で、貨物の引取が行われていましたが(審査制)、これが、受理制となりましたので、通関手続の迅速化、合理化が実施される事になります。

その上で、通関価額・HSコード等、納税額に関係する内容に付いては、租税徴収管理センターが事後の抽出検査を行いますし、全国の通関データが共有化されます。

よって、事後調査により、通関手続・納税額等に関して問題提起が行われる確率が高まります。

特に、同一企業が複数地域で、類似製品を、異なるHSコード、異なる価格で通関している場合、それが問題となる事例が出てきています。

尚、税関総署公告2016年第62号では、違反行為を自主的に報告した企業には処罰の減免を、過少申告額を自主的に納付した企業には延滞金の減免を規定していますので、その対応が適用されるものと思われます。

 

4.保税転送手続の制限

税関一体化により、税関申告地域の選択(輸出入地と企業所在地)が可能となる事から、保税転送(未通関の貨物の税関所管区変更で、監管車による移送)は、限定された場合となる事が予想されます。

それを踏まえて、「保税転関輸送業務の規範化に関する公告(税関総署公告2017年第48号公告)、以下、48号公告。2018年1月1日施行」が公布され、保税転送手続が認められる場合として、以下が規定されています。

尚、新制度に基づく保税転送手続に付いては、(施行間がない事より)、詳細が不透明な部分もありますので、今後の実務対応を確認の上、都度、レポートを提示させて頂きます。

 

1)複合一貫輸送貨物

Through B/L等があり、中国内で、複数の輸送機への積み替えが行われる場合。

尚、以前は、積み替えの度に、所管税関に保税転送申告をする必要がありましたが、新制度に基づけば、積み替え時の税関手続は不要となっています。

 

2)固形廃棄物を輸入し、下記条件を全て満たす場合。

・水運による一貫輸送形式(水運⇒水運)で輸入した古紙、廃金属である。

・貨物入国地が、指定された固形廃棄物輸入港である。

・税関転送目的地に、大型コンテナ検査設備が取り付けられている。

・廃金属を輸入する一貫運送目的地に国家環境保護部門に設立が承認・検収され、既に税関常駐監督管理が行われている輸入固形廃棄物集中管理園区がある。

・輸入固形廃棄物集中管理園区まで一貫運送する輸入廃金属であり、園区内企業により加工が行われる。

 

3)温度、静電気、粉塵など自然要素からの影響を受けやすい、若しくは、その他特別な原因で、港の税関監督管理区域で検査検証を実施する事が適切ではない輸出入貨物であり、下記条件を全て満たす場合。

・荷送人・荷受人が高級認証企業である。

・税関転送輸送企業が、直近1年間密輸入違法行為で税関に処罰されていない。

・税関移転出発地、若しくは目的地が、貨物の実際の出入国地と同一直属税関エリアではない。

・貨物の実際の出入国地に既に非侵入型検査検証設備が取り付けられている。

 

4)郵送、クーリエ、暫定輸出入貨物(ATA Carnetにおける貨物を含む)、トランジット貨物、中国・ 欧州列車の運送貨物、市場調達貿易方式で輸出する貨物、越境Eコマース輸出入商品、免税品及び外交、常駐機関と人員の社用及び個人用物品。

以上

 

お問合せ

MizunoConsultancyHoldingsLtd.

WEBサイト http://www.mizuno-ch.com

 

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